【離婚 / Divorces

 

  種類 / 手順       
  
Categories / Procedure


ただでさえ「結婚するときの3倍のエネルギーがいる」と言われているくらい大変な離婚。

そこに調停や裁判で戦うとなると、ドロ沼になった場合、相当な精神力、経済力が必要です。


 

 

 

 

 

日本の離婚の種類は、約90%が協議離婚、残りの9%が調停離婚、1%が裁判離婚。

この割合はここ30年ほとんど変わっていません。

 

 

協議離婚

夫婦が離婚について同意していれば、離婚届を市役所に提出することで離婚が成立。離婚の理由や事情は問われない。時間や費用が節約できるもっとも簡単な離婚方法ですが、養育費、財産分与、また必要な場合には慰謝料の金額など、十分に取り決めないまま離婚をしてしまう傾向があります。いったん離婚成立した後では、相手も話し合いに応じてくれない可能性もありますので、取り決めはなるべく離婚前にした方が良いでしょう。

 

 

調停離婚

夫婦の同意が得られなくても、離婚などの家庭の問題については、いきなり訴訟をすることはできません。訴訟の前に必ず、離婚をしたい夫婦のどちらかが、家庭裁判所に申し立てなければなりません。3人の調停委員(家事調停委員2名、裁判官1名)が、夫婦双方から事情を聞きながら、お互いに合意し解決できるように仲裁。離婚だけではなく、夫婦関係の円満調整のための調停も行われています。財産分与・慰謝料などの金銭問題や、親権・養育費などの養育問題などの離婚条件で、双方とも合意ができれば、調停調書が作成され、離婚が成立します。

 

 

審判離婚

家庭裁判所で調停が繰り返し行われたにも関わらず、夫婦の考え方のわずかな相違で合意に達しない場合や、離婚成立寸前で夫婦のどちらかが出頭義務に応じない場合、家庭裁判所は調停委員会の意見を聴いて、独自の判断で離婚の処分をすることができます。離婚をさせた方が、夫婦双方の利益になると判断したとき行われます。但し、調停が不成立になると裁判離婚へ提起するか、一旦離婚を断念するケースが多く、審判離婚はあまり利用されていない制度です。

 

 

裁判離婚(判決離婚)

上記のいずれかの方法でも離婚成立に至らなかった場合の最後の方法。裁判に勝利して、離婚を認めるの判決を得なければなりません。協議離婚・調停離婚では必要ありませんでしたが、離婚訴訟を起こすには民法が定めている「法定離婚原因」が必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

離婚の種類は、上記の日本のとほぼ同じですが、異なる点は、「たとえ離婚が協議であったとしても、1年間以上の別居が必要」ということです。

 

特別な法的別居手続きがあるわけではありませんが、新しく引越しをしたアパートの契約書など「夫婦に離婚の意思があり、最低1年間別居していた」という証拠書類が必要になります。

 

精神的・肉体的な虐待や不倫が理由で離婚を希望する場合は、上記の<別居の証明>も必要ありません。「虐待」や「不倫」があった事実をきちんと証明すること ができれば、ただちに離婚手続を始めることができます。ただしこれは、離婚するための条件であって、カナダには慰謝料という概念がないので、相手方の非が 財産分与や養育費に与える効力は一切ありません。 

たとえ、理由が「虐待」や「不倫」であったとしても、弁護士費用や紛争時間がかかるこれらの証明をするよりも、「1年間以上の別居」の証明で離婚するケースが多いです。

 

 

 

通常の離婚手順

 

別居開始1年後、同意書(Separation Agreement Form)を作成、最寄の裁判所に提出

 ”Do it yourself" などと呼ばれている「離婚キット」は、書店でも購入可能。同封されている「別居にともなう同意書」に、子どもの養育権・面会回数・養育費、不動産、貯蓄などの財産(カナダの民法では基本的に夫婦間で等分が原則)などについての同意内容を記載して裁判所に提出します。

 

子どもや財産の有無にかかわらず、双方が内容に同意しているならば、書類にサインをするだけで成立しますが、ほとんどのケースでは、感情的になったり、自分を守ることに必死で、相手に不利な条件を突きつけってくる可能性があるので、弁護士を雇うことをお勧めします。

 

ただ、問題は費用。弁護士に相談する場合、初回は無料のところもありますが、かなりの金額を提示されるところもあります。その後の相談料は、問題のないケースでも5000~7000ドル(長期戦になるとそれ以上)かかるのが相場です。費用が高ければ高いほど、いい仕事をしてくれるとも限りません。中には、故意に、調停や裁判にかける時間を引き延ばすだけ延ばして、大した仕事をしてくれない「ぼったくり弁護士」も存在するので注意が必要です。

 

出来る限り、ネット情報や宣伝内容だけを信用するのではなく、実績を知っている信用できる人からの紹介が「イイ弁護士を見つけるコツ」です。あなたが女性でカナダ人の夫と離婚する場合、「女性カナダ人弁護士で日本語が話せない人」がいいと言われています。女性の方が、同性として親身になってくれますし、カナダ人と闘うには、やはり英語が達者なカナダ人の方が有利なのです。

 

しかし、特にコネもなく、どの弁護士に相談したらいいのか・・・迷ったら、Lawyer Referral Service (BC州の場合)にコンタクトし、希望する地域や条件(性別、離婚弁護士など)を伝えると、最適だと思われる数人を紹介してもらえます。その中から弁護士を選んで、自分で アポイントを入れますが、予約する際に「Referral Serviceを通して」ということを伝えます。どの弁護士に決めても、料金は一律、最初の30分の相談は$25。相談にのってもらっても、その弁護士を 正式に雇わなければいけない義務はありません。疑問を感じたり、不快感をもったら、再度Referral Serviceから別の弁護士を紹介してもらうことも可能です。

 

弁護士費用を抑えるには、調停員(Mediator) やファミリーカウンセラー(Family Justice Counselor)に相談を依頼するか、自分で同意書をある程度仕上げて、(弁護士が了承してくれれば)確認だけをしてもらうのも、費用をセーブする方法です。

 

 

 

離婚完了

ケースによってまちまちですが、数週間後から数ヵ月後に離婚成立の通知(Divorce order)が郵送され、通知が発行されてから31日後に正式の離婚となり、離婚証明(Divorce Certificate)が裁判所で発行されます。再婚は、離婚後31日経ってからでないとできません。

 

 

 

夫婦のどちらかが日本人である場合

日本領事館に日本の離婚届を提出。カナダの離婚証明とその訳文、裁判所の離婚判決謄本とその訳文、戸籍謄本3通などを離婚届と共に提出し、晴れて国際離婚が成立します。

 

 

カナダに住む日本人同士の場合

日本側での協議離婚の場合、日本領事館へ双方の署名、証人2人の署名入りの離婚届と戸籍謄本3通を提出するだけです。カナダでの離婚を成立させるには、日本領事館より離婚証明書を英文でもらい、カナダの最高裁判所に提出します。日本人同士の離婚とはいえ、カナダでの再婚を考えるならばDivorce Certificate が必要になりますので、カナダでも上記の手順で離婚申請をした方が無難です。また、税金を申請するCanada Revenue Agency にも、婚姻関係にある場合とない場合では、税金控除の計算方法が異なってくるため、別居や離婚を連絡する必要があります。

 

弁護士費用は、確かに高額です。しかし、弁護士を通さずに相手の言うなりになってしまうより、お金が掛かっても法的に効力があり、自分に有利な同意書を作ることが大事です。特に、お子さんいて、カナダで暮らす場合は、子育てにはお金が掛かりますし、外国人であること自体が不利になってしまうこともあります。絶対に、経済的に苦しまなくていいように、同意書にサインをする際には慎重に。後悔しないように、しっかり考えた上で、行ってください。

 

 

 

コモンロー(Common-law-partner)制度

カナダ人(永住権保持者)の配偶者としてカナダ移民権を取得するには3つの方法があります。

 

1.結婚(Spouse)

2.コモンロー(Common-law-partner)

3.コンジュガル(Conjugal)

 

コモンローとは、日本で言うところの「事実婚」のことで、もともとは、まだ結婚が法的に認められなかった同姓愛者や、同棲だけで何の保障もなく暮らす女性(母親)の救済方法として設立された制度です。

 

申請の最低条件は「1年以上同棲する」こと。しかし、同棲はあくまでも最低条件であり、その他、2人が結婚同然の生活をしていること(出会った年月日、シチュエーション、紹介者まで詳細に渡る質問項目)を証明しなければなりません。正式な事情(例えばビザの関係)などにより、この同棲条件を満たせない場合は、コンジュガルとなります。

 

カナダのコモンロー制度では、結婚と同様のもろもろの保障(配偶者保険など)が得られるので、パートナーとの関係が上手く行っている間は、そんなに結婚との違いを意識しないかもしれません。しかし、いざ解消する(結婚では離婚と言いますが。。。)際に顕著に表れてきます。子どもや財産の有無などによって、状況が変わってきますので、一慨には言えませんが、少なくともコモンローの場合、日本では「既婚」ではなく、「独身」扱いになるため、何も財産分与などの保障はありません。子どもがいる場合、日本の戸籍上、何も手続きをしていないと、父親がいないことになってしまいますので、多くは、新たに届けを出して認知をする形になりますが、コモンロー解消にあたり、子どもの親権や養育費を正式に取り決める必要があります。ここは、離婚のプロセスとまったく同じです。

 

コモンロー解消において、もっとも不利に感じられてきたのが、「財産分与」です。「結婚と同じ」と言われて、財産を共に築いて暮らしてきても、いざ別れるときには、「コモンローだから」と、共有財産の分与の保障がありませんでした。しかし、2013年3月18日より、BC州のFamily Law が新たに変更になり、コモンロー関係になって2年以上であれば、結婚と同様、別れる時は財産分割の問題が発生することになりました。あまりにも泣き寝入りをせざるをえないケースが増えてきた為、法律の改正に至ったと想われます。

 

離婚の手続きを踏むにあたって、自身やこどもの安全に不安がある場合は、下記の機関に相談を。

 

・警察(911)

・地域のVictim Services Worker

・Family Justice Counsellor

VictimLIN -- BC州の場合

(1-800-563-0808 / 604-875-0885 24時間年中無休、様々な言語にて対応)