注文殺到、シンプル「肉まん」大人気【東京】

肉まんを手に「心を込めて作っています」と語る大川さん(右から2人目)
肉まんを手に「心を込めて作っています」と語る大川さん(右から2人目)

東京都葛飾区東金町の障害者雇用施設で知的障害者らが作る肉とキャベツだけのシンプルな肉まんが人気を呼んでいる。作り方は同施設に勤務する台湾出身の女性栄養士が考案し、障害者に伝授した。3月中旬から販売を始めたところ、素材を生かした素朴な味わいが口コミで広がり、注文が殺到、製造が追いつかない状態になっている。

 

この施設は、NPO法人「嬉泉会(きせんかい)」(島田修身理事長)が運営する「きせん事業所」。障害者自立支援法に基づき、雇い入れた障害者に都の最低賃金(時給837円)を保障する施設で、3月14日にオープンした。現在、20~50歳代の知的障害者ら10人が通所し、全員が肉まんの製造・販売に携わっている。

肉まんの作り方は、同施設に勤務する台湾出身の栄養士大川晶子さん(59)が約20年前に考え出した。素材にこだわり、市場に出向いて朝取りの新鮮なキャベツだけを購入。豚肉も精肉店で粗びきにしてもらい、たたいて柔らかくしてから調理する。中華料理の小籠包(しょうろんぽう)のような肉汁の多さが特徴だ。

 

NPO法人の運営を支援する「嬉泉病院」の須藤祐司院長が約20年前、当時、大川さんが勤めていた板橋区の福祉施設の夏祭りで大川さんの肉まんを食べたところ、「横浜の中華街でも、これに勝る味はない」とほれ込み、今回、同施設のオープンに際して、大川さんを迎え入れた。

 

開所後、大川さんは雇用した知的障害者ら10人に、肉の分量の量り方やこね方、出来上がった肉まんの箱詰めの方法などを一つ一つ指導。最初は時間がかかったが、最近はだいぶ慣れてきた。大川さんは「具を皮で包む作業は、私がやっているが、いずれはその技術も教えたい。障害者たちには、施設で学んだことを生かし、一般の企業で働けるようになってほしい」と“教え子”の成長を見守っている。

 

肉まんは1個200円。手作りのため、1日100~150個程度しか作れないが、オープン当初から味が話題になり、同施設に買い求める人の列ができたほか、ホテルから大口の注文も入り、品薄の状態が続いている。同法人の島田理事長は「予想以上の好評で驚いている。楽しみにしてくれているお客さんのためにも、早めに、もっと増産できる体制をつくりたい」と話している。【 2012.4.14 読売新聞