若手や障害者、才能羽ばたいて 東山の元新道小校舎【京都】

昨年3月に閉校した京都市東山区の元新道小校舎を美術作品の誕生の場にしようと、市やNPO法人が連携し、計10部屋の空き教室を画家や造形作家のアトリエにする試みを今月から始める。利用する若手芸術家を募ると同時に、8日から障害のある作家約20人が創作拠点に使う準備に取り掛かる。市は「古い校舎の落ち着いた雰囲気の中で才能を磨いて」と期待している。

 

若手のアトリエは音楽室と理科室など6部屋を用意した。市が設け、芸術家や住民が委員を務める「東山アーティスツ・プレイスメント・サービス実行委員会」が運営する。

 

各部屋1人か1グループが最長3年間、日曜を除く毎日午前9時~午後5時に無料で利用できる。11月~来年3月の利用者を募集中で、希望者は作品が分かる写真や映像資料を市文化芸術企画課に今月30日までに提出する。

 

障害のある作家の拠点づくりは、東山区のNPO法人「障碍(しょうがい)者芸術推進研究機構」が担う。当面は同法人が5月に始めた「アトリエ会」に登録する12~28歳の作家が4教室を使う。これまでは会場を随時探して催していたが、腰を据えて創作できる環境を整える。

 

同市内では毎年、芸術系の大学生約2500人が卒業するが、制作場所が見つけられず市外に出る作家が多い。障害者も総合支援学校卒業後に創作の場がなく、芸術活動を諦める人が目立つという。

 

元新道小は建仁寺や宮川町の花街近くにある。市文化芸術企画課は「京の文化を感じられる地域で、美術教室や展覧会を開くなど住民と交流しながら創作意欲を高める場になれば」としている。

 

15日午後1時から利用希望者向けの見学会もある。

同課TEL075(366)0033。

 

2012.9.5 京都新聞