【本】発達障害の元教諭が自伝執筆 障害への理解訴え【岡山】

広汎性発達障害の診断を機に、中学教諭を退職した瑠璃(るり)真依子さん(26)=ペンネーム、岡山県内在住=が、自身の経験を綴った著書「どろだんご―発達障害と共に生きる」を発行した。人との関わり方でもがいてきた思いを素直な言葉でつづると同時に、当事者への理解を訴えている。

幼少期、よく笑う活発な子だった瑠璃さんは勉強が好きで、成績は常にトップクラス。小学生の時、円周率を一晩で100桁まで覚えてみせ、周囲を驚かせたこともあった。その一方、授業中にしゃべりすぎて怒られたり、友人と一緒に行動できず、人間関係でつらい思いを抱くことが増え、「自分はみんなと少し違うのかもしれない」と思い始めた。

 

岡山大時代、教員採用試験に一度で合格し2008年、中学教諭に。しかし教材準備、生徒指導と多忙な中、仕事の優先順位が付けられない。「どれから着手すれば良いのか分からず、パニック状態に陥った」と振り返る。

 

10年夏。ひどい頭痛と自殺願望に襲われて休職し、病院で発達障害の診断を受けた。長年抱いていた“疑問”が解け、少し安心したという。昨年教職を辞したが、自宅で学習塾を開き、今も子どもたちに勉強を教えている。

 

四六判、88ページ。1050円。文芸社刊。全国の書店で販売している。

 

2012.10.2 山陽新聞