自閉症の原因遺伝子特定 自治医大などの研究チーム【JAPAN】

発達障害の一つである自閉症を研究する自治医大の桃井真里子主任教授(小児科学)の研究チームは5日までに、脳内の神経伝達物質の代謝に関わる自閉症の新たな原因遺伝子を特定した。日米の患者約300人のDNAを解析した結果、「GPR37」と呼ばれる遺伝子が10人で変異していることを発見、この変異が細胞機能に悪影響を与えることを突き止めた。自閉症の要因となる原因遺伝子が特定されたことで、新たな治療薬の開発につながることなどが期待される。

国際医療福祉大基礎医学研究センターの桃井隆センター長との共同研究。2012年12月に米科学誌「プロスワン」で発表した。

 

研究チームは日本人と米国人の患者計約300人の血液を採取しDNAを解析。健常者と比較したところ、7家系10人の患者のGPR37に一定の変異が見つかった。変異した遺伝子を培養した細胞に導入すると、細胞に悪影響が出ることが分かった。

 

GPR37は脳内の神経細胞間の伝達部分である「シナプス」の膜の上で、神経伝達物質「ドーパミン」の代謝に関与する。GPR37の変異がドーパミンの関連した脳機能不全を引き起こすと推定されるという。

 

2013.1.8 下野新聞