障害者の就労 演劇通し問う【長崎】

諫早市の劇団ヒロシ軍(荒木宏志座長)が、障害者の就労をテーマにした作品「さまたげとなるもの」を10日に長崎市で上演する。見る人に「障害って何?」と問い掛ける。

 

作品は障害者就労支援施設で働く男性が、障害者が働く場所を探して奮闘する物語。障害者を雇うのはリスク(危険)なのか、障害者支援は慈善事業なのか-。疑問を抱いた主人公は、同僚や障害児と関わる中で障害者の見方を変えていく。

ヒロシ軍の俳優、渡辺享介さん(42)がパーソナリティーを務める諫早市のラジオ番組で、障害者の就労を支援するNPO法人レインボーブリッジの山口雅士理事長(57)と共演したことをきっかけに創作した。就労支援に携わる職員、働く障害者や雇用主に接して、渡辺さんの考え方が変わっていったという。

 

「障害という言葉のせいで、無意識のうちに、彼らを劣っているとゆがめて見ていた。彼ら自身もそう思っていると感じたときは本当に悲しかった」と渡辺さんは振り返る。「障害の特性を生かし作業効率が上がった」「職場が明るくなった」と雇用主は障害者を雇う効果を強調するが、一方で多くの企業が「雇うリスク」を口にして断る現状も知った。

 

障害者への理解を広げたいと、2011年末から創作を始め、昨年3月に初演した。渡辺さんは「支援は理解することから始まると思う。障害者の気持ちに耳を傾けるきっかけになればうれしい」と話している。

 

公演は10日午後2時から長崎市千歳町のチトセピアホールで。前売り券は一般千円、大学生以下500円(当日は300円増し)。公演依頼や問い合わせは=0957(42)4118。

 

2013.2.5 西日本新聞朝刊