【自閉症の治療 Treatment

 

④ 脳神経内科的療法             
  Neurosurgical Therapies
     

■ニューロフィードバック EEG-NeuroFeedback

Neurofeedback療法 Image:Autism Treatment Center
Neurofeedback療法 Image:Autism Treatment Center

任天堂DSなどの脳トレとは違う、個々に合わせた脳のトレーニング方法です。

 

1960年代からアメリカでは脳機能と自閉症や学習障害の研究は行われ、自閉症は運動、思考、注意、記憶に大きな関わりを持つ前頭葉の機能障害の症状の表れだという考え方が臨床家の間でも浸透しています。PETやSPECTという脳画像の研究でも、自閉症は脳の前部と中央部の働きが比較的遅く、また前頭前野(前頭葉の一番前の方)の辺りの新陳代謝も低めだということが報告されています。その障害や疾患によって異常を生じた判断と抑制力を表す脳波のパターンを学習し訓練することにより、思考や注意力の改善を目指すものです。

 

人間の脳波は、アルファ、ベータ、セータ、ガンマ、デルタの5種類があります。アルファ波はリラックスやニュートラルな状態を表し、ベータ波は思考と精神が刺激され集中している状態、そしてセータ波は眠りに近い状態のときに上昇し、創造洞察力、夢や催眠状態と関連性があります。「自閉症児は、ベータ波とセータ波の比率に問題がある」という仮説があり、ニューロフィードバックでは主にアルファ、ベータ、セータ波が治療の焦点となります。

 

脳自体はもともとベストの状態で働くように「学習」する能力を持っていて、ニューロフィードバックはその学習を助ける役目をします。乱れた脳波が正常に近づく度に「良くなったよ」という信号を脳に送り、脳が正常な動きを覚えることを助けるのです。このような脳へのトレーニングをある程度の期間継続的に続けることで、学習の効果を定着させ、フィードバックがなくても脳が正常な働きをすることが目的です。

 

そして脳波異常の減少が障害や疾患の諸症状の改善につながります。薬も電気による刺激も使わず、脳が自然に持っている学習能力を利用するため、脳へ負担をかけずにトレーニングを行なう点が特徴です。 

 

近年のアメリカの心理学界のトレンドは、神経心理学。科学技術の発展により、今まで解明できなかった脳機能の研究がこれまでになく盛んに行われていますが、ニューロフィードバックの研究結果と臨床現場からの報告はまだ発達段階にあります。健康保険が適用されない上、効果が出るのに時間がかかる(40セッション以上)ので、費用の面からも実用的だとは言い切れませんが、更なる研究が期待されます。