【自閉症の治療 Treatment

 

⑧ その他の代替療法                
  Other Alternative Therapies
     

■感覚統合療法 Sensory Integration Therapy                    聴覚統合療法 Auditory Integration Therapy


Image:Sasson Sugata
Image:Sasson Sugata

アメリカの作業療法士のエアーズ(Ayres,A.J.)1970年にアメリカで問題になっていた学習障害児のための治療法として開発されたLDや自閉症を含めた発達障害のある子等へのリハビリテーションの一つ。日本には10年遅れて入ってきました。前庭系、体性感覚系(固有受容覚、触覚)での感覚情報処理が重視されます。

 

エアーズによれば、健常児は、以下のような過程で学習能力を習得していきます。

 

0歳~---最初、聴覚・前庭・固有受容器・触覚・視覚の感覚を個別に学習します。

 

1歳---前庭感覚は目の動き・姿勢・バランス・筋緊張・重力への安心感を、

    固有受容器感覚は扱いや食べる事を、触角感覚は母と子のきずな・心地よい触覚を習得

 

3歳---これらの3感覚が統合され身体知覚・身体の両側の協調性・運動企画 

    活動レベル・注意の持続性・情緒の安定を習得

 

5~6歳---これらの3感覚と視覚が協働して目と手の協調・視知覚

      目的的活動を実現し、聴覚感覚は話す能力,言語を習得

 

7歳~---5感覚が協働して最終産物である集中力・組織力・自尊心・自己判断・自己抑制

     自信・教科学習能力・抽象的思考・推理力・左右の特殊化を習得

 

しかし、自閉症児では、これらの成長過程においての重要な感覚情報処理が上手く機能せず、環境に対する適切な行動、運動、学習などができず、以下の例のような異常反応をしてしまいます。

 

触覚

・髪の感覚が敏感で、散髪ができない


臭覚・味覚---

・いつも食べているラーメンでも、水分量が微妙に変わると食べない

・少しでも普段と匂いが違うと食べない

 

平衡感覚---

・鈍いと、高い所を恐怖心を抱くことなく平気で歩く

・回転遊具などで、どんなに回しても目が回らない

 (回転がきつくなると、普通は上を見上げて回転を緩める動作を自然とするが、逆に足元を見て

  回転感覚が強化される感覚を楽しむ。気分が悪くなることもない。)

・後ろ向きに車に乗っても乗り物酔いしない

 

 

感覚統合療法では、「感覚調整障害」、「行為機能障害」とみなし、内耳前庭、触覚、体内感覚受容器(proprioceptor)などに刺激を与えることで、自閉症者の感覚過敏、身体機能の障害(不器用)を改善し、健常児が持つ脳の使い方を再現する事によって脳の感覚処理能力を改善させることを目的としています。特定の行動やスキルを学習させることではなく、感覚機能の再調整を促すために、器具を使ったゲームを行います。エアーズは子どもが自分で活動を選択する「自己制御的」治療環境を勧めています。子どもはたいてい自分から弱点を治療するのに必要な活動を求めるとしているからです。

 

一般に作業療法士によって行われ、個々の子どもの「感覚上のニーズ」に基づいて、その子どもに合わせた治療法を選択していきますが、特殊な訓練というよりは、当たり前の日常生活の中で、当たり前のことに手を加えて丁寧に取り組む訓練といった感じだと思います。

例えば、ハンモックに乗せて揺らしたり、平均台で均衡を保させたり、子どもの体をブラッシングしたり、なでたり、といったことを行います。山歩きを療育に取り組んでいる場合もあります。聴覚統合訓練では、1回30分のセッションを1日2回、10日間にわたって行います。セッション中、子供はヘッドホンを通じて「オーディオ・キネトロン」という電子装置を用いた音楽プログラムを聞きます。このプログラムは、各々の子どもに合わせて特定の周波数をカットしていて、聴覚の歪みや過敏性、感覚処理過程の異常を改善していきます。

 

アメリカでは1991年にこの療法で自閉症を「克服」したという親の体験談が出版され注目を集めたようですが、日本ではほとんど聞きません。現在のところ、医学的には実験的なものと見なされるべきであり、感覚統合が自閉症、発達遅滞、精神遅滞にとって有効な療法であることを支持していません。

 

 

【関連/引用/参考サイト】

自閉症療育に感覚統合訓練は有効なのか?

日本感覚統合学会

 

 


■ファシリテイティッドコミュニケーション/ドーマン法   

   FC=Facilitated Communication/Doman Method


Image: Peyton Goddard
Image: Peyton Goddard

ファシリテイテッド・コミュニケーション(FC)は、重度のスピーチ障害のある発達障害者が意思を伝達する手段として開発された「筆談支援」によるコミュニケーション方法。「筆談・指談・文字盤・キーボード」を手段に、ファシリテーターと呼ばれるサポーターが手を添えて、障害者の筋肉の動きを読みとり、サポートします。

 

筆談---------障害者にファシリテーターが手を添えて紙に文章を書く

指談---------障害者やファシリテーターの指を使って手のひらに書く

文字を読み上げる

文字盤-------障害者にファシリテーターが手を添えて文字盤への指差

し文字を読む

キーボード--障害者にファシリテーターが手を添えて、キーをたたいた文字を読む

 

1970年代にオーストラリア、ヴィクトリア州の教育者Rosemary Crossley が脳性麻痺の人々を対象に「身体プロンプトによって指さしを作り、手を添えて何かを指ささせ、再び手を添えて手を離させることによって、コミュニケーションを教える研究」を行いました。Crossleyは、「脳性麻痺の人々は動作を行ったりコントロールしたりすることが困難なので、その動作を助けることができれば、コミュニケーションの意図や思考を明らかにすることができるのではないか。。。」と考えました。

 

その後、この研究結果を元に、1990年アメリカシラキュース大学Donald Biklen博士 は、「自閉症者もFC を使ってコミュニケーションすることが可能である」と提唱、初めて紹介しました。(National Autistic Society, 1994)。自閉症者の80%が知的障害を持っていることを受け入れず、「自閉症は基本的には動作の障害で、自発的な動作を行うことが困難であり、それゆえ言語の表出も妨げられている。全ての自閉症者が少なくとも平均的な知能と豊かな感受性を持ち、言語を全く、あるいはほとんど持たない人でも、ファシリテーションによって、人生経験、思考、感情、選択、意向、そして決断を表明することができる。」という主張は、世間で注目を集め、大きな論争も巻き起こしました。

 

FCで自分のことを表現し始めると、「フラストレーションが軽減されるので、暴力やかんしゃくを起こす傾向が少なくなる」など劇的な向上がみられ、「書く」ことによるコミュニケーションを通じて言語の経路を動員したために、話し言葉も増えてくるという現象が見られることもあるそうです。文章を使って話し始めたり、自分の必要性を口で言うようになった子供もいます。研究論文や本や随筆や詩などを書いている子供もいます。なかには、完全に自力で書いたりタイプしたりできるようになった子供もいるそうです。

 

一方、ドーマン法とは、障害者・障害児を精神的・肉体的に健常者・健常児に近付けるためのリハビリの手法で、1956年人間能力開発研究所 (ドーマン研究所)によって紹介されました。近年では健常児への英才教育にも応用できるとされています。

 

プログラムの内容は、数人の大人が障害児の手足首を毎日何時間も強制的に動かして、体の動きを脳に学習させると主張する「パターニング」や、10分毎にビニールのマスクで鼻と口を覆い、自分の呼気を繰り返し呼吸させることにより低酸素状態にして、肺機能を活性化させると主張する「マスキング」などの、障害者・障害児に多大な負担を与える様々な手法です。毎日10数時間を費やすので、当然、通常の教育や訓練・リハビリを受ける時間はなくなってしまいます。若年時に教育や訓練を受けることができないことにより、トイレトレーニングなど、思春期を過ぎると極めて困難になる基本的な生活訓練ができず、障害児に将来多大な不利益が発生することが予想されます。そして、ドーマン法を行うためには、多額の費用が必要となります。全く効果がなかった場合でも、費用は返還されません。

 

日本では、2002428日に『奇跡の詩人 〜11歳 脳障害児のメッセージ〜』NHKで放送され、一時期騒動になりました。これは、重度の脳障害を抱えながら、文字盤を指すことによる執筆活動で、人々の反響をよんでいた少年・日木流奈(ひき るな)さんをとりあげたドキュメンタリー番組です。少年が指したい文字を母親が読み取り、それに応じた手の動きを感知して文字盤の上の文字を高速で読み取り、それを口述するという、まさに「ローマ字を使ったコックリさん」なのですが、この番組を視聴した視聴者の間で、母親が少年の手を持って文字盤を指している場面で、文字を指す少年の手と、文字盤を持つ母親の手が同時に動いていること、少年があくびをしたり、よそ見や居眠りをしたりしている間も正確に文字盤を指しているなど、不自然な場面が多々見られるという指摘がなされ、「母親が少年の手を動かして文字盤を指させているのではないか」」「ドーマン法は本当に効くのか」という疑問が沸き起こりました。[異議あり、奇跡の詩人]という書籍まで出版されたくらいです。

 

こうした批判に対して、近年、FC推進者は ”Independent Typing”と呼ばれる「介助者が手や腕を直接介助しない方法」を編み出し、「これこそFCがインチキでない証拠だ。」と主張しています。上記の少年もその一人。しかし、1994 年にアメリカ心理学会は「FCは有効性に関する科学的な証拠を欠いており、論争のある立証不十分な方法である」という決議を採択しました。

 

厚生労働省はドーマン法への見解を次のように示しています。

 

「ドーマン法につきましては、その内容や考え方が医学的に必ずしも明らかではございませんが、米国の小児学会において、ドーマン法は有効性が認められないとの見解を出していると承知しているところでございます。また、日本の小児神経学会におきましても、今回の番組の放映を受けて、米国小児学会の声明を引用した上で、ドーマン法については多くの批判があるとの見解を示しているところでございます。このように、専門家の間では、ドーマン法は脳に障害を持つ児童に対し一般的に用いられる手法ではないものと認識されていると私どもは承知しているところでございます。」

(20021114日 衆議院決算行政監視委員会での厚生労働省社会援護局障害保険福祉部長 上田茂氏)

 

Image:  Amazon.co.jp
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2007年、当時13歳で、重度の自閉症児である東田直樹さんが自閉症である自分の心の内を綴ったエッセイ自閉症の僕が跳びはねる理由」を出版。自閉症者自らが語る極めて画期的な作品でしたが、出版当初、東田さんはまだ母親の美紀さんの介助で、コミュニケーションを取っていたため、ほとんど話題になることはなく、一部からは、やはり有効性への疑惑、批判も出ていましたが、それが一変、7年も経った2014年、脚光を浴びることになりました。

 

日本人を妻に持ち、自身も自閉症の息子がいるアイルランド在住の作家デイヴィッド・ミッチェル氏が、偶然東田さんの書籍と出会い、感銘を受けたのがきっかけで、英語に訳され、「The Reason I Jump」というタイトルで出版されたのです。

その後、世界20カ国以上で翻訳され、ベストセラーになり、ミッチェル氏をはじめ、息子はなぜ床に頭を打ちつけるのか・・・、なぜ奇声を発するのか・・・」を理解することができずに、子どもとのコミュニケーションを諦めかけていた世界の多くの家族も救うことになりました。

 

日本では、ミッチェル氏が東田さんと感動の対面を果たしたドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」が放送。現在の東田さんは、もう母親の介助なしに、パソコンのキーボードを操り、コミュニケーションを取れるまでに!「自閉症者の代弁者」と呼ばれるまで、驚くべき成長を遂げています。勿論、ここまで成長されるには、ご本人は勿論のこと、お母さまや周囲の方々の努力がおありになってこそですが、FC療法の有効性が証明された一事例です。 

 

 

【関連/引用/参考サイト】

ドーマン法を考える

『自閉症の僕が跳びはねる理由』

会話のできない中学生がつづる内なる心(東田直樹:著 エスコアール出版部) 

人間能力開発研究所

2002-0428 奇跡の詩人放送-此処はantiNHK.com

東田直樹 オフィシャルサイト<自閉症の僕が跳びはねる理由>

 

 

■頭蓋整骨療法 Craniosacral Therapy

Image:Singapore Autism Solution
Image:Singapore Autism Solution

頭骨と仙骨(胸郭後方の腰椎と臀部の尾椎の間にある骨で、脊柱を形成する5つの癒合した椎骨でできている。)脳脊髄液とそれを包む髄膜に内在する頭蓋骨の「リズムバランス」をコントロールして、痛みを抑えたり、その他ガンを含むもろもろの病気を治療するもの。1930年代に整骨治療師 ウィリアム・G・サザーランドが発明、もう一人の整骨治療師ジョン・アプレガーが現在の頭蓋整骨療法を主導的に提唱しました。治療師の手で測定されたリズムのバランスと流れこそが健康に必須なのだと考えていますが、この治療法には科学的な根拠もなく、医学的に有害ですらあります。

 

 

【関連/引用/参考サイト】

The Skeptic's Dictionary 日本語

頭蓋整骨療法 craniosacral therapy

 

 

■締めつけ機 The Squeeze Machine

締めつけ機に入る「Temple Grandin」   Image: bushel-and-a-peck
締めつけ機に入る「Temple Grandin」   Image: bushel-and-a-peck

自ら自閉症を抱えた、コロラド州立大学准教授テンプル・グランディン(Temple Grandin)の著書、『我、自閉症に生まれて』で紹介された自作の機械。小学2年生の頃から「集中的な快い圧迫感を体に与える、魔法の機械」を夢見るようになり、16歳のころ、遊園地にある遠心力を利用して壁に吸い付けられる乗り物内で快感と解放感を感じたり、叔母さんの牧場で牛桶に魅せられたりしたことがきっかけで、「締め付け機」を考案。子牛を神経を落ち着かせるための「牛樋」を見ているうちに、「自分の神経発作にも効果があるのではないか」と考えはじめ、実用化しました。自分で圧迫感をコントロールできる締め付け機による心地良い圧迫感を利用することで、情緒を安定させ、神経発作やパニックを減らすことが出来ると言います。

 

日本では、社会医学技術学院の石井先生の手によって作成され、公開されたそうです。

 

【関連/引用/参考サイト】

締め付け機-内側から見た自閉症

 

 

■抱っこ療法 Holding Therapy

看護師資格を有する心理療法家のキャサリン・キーティング(K.Keating)が提起し、ウェルチ医師(Dr. Welch)が創始者。肌と肌を触れ合わせて安らぎや癒しを得る『スキンシップ・セラピー』の一種です。

 

アメリカの動物心理学者ハーロウ(Harlow, H.F.)1961年にマザリング(親や養育者などが乳児に与える母性的な愛撫や世話)の面白い実験を行いました。

 

「哺乳ビンを持つ針金の代理サル」と「哺乳ビンを持たない布製の代理サル」とに対する仔サルの反応を調べた。結果、スキンシップの温かさ・肌触りの良さを得られる「布製の代理サル」への接触時間が、「針金の代理サル」に比べて長く、また新奇場面において、避難場所として用いる度合いも「布製の代理サル」の方が圧倒的に多かったのです。

 

『布製サル』への依存行動と愛着形成は、発達早期における『母性的保護・愛情の必要性』を示していますが、これは人間の乳幼児(子ども)にも共通することです。母性的な愛情やケア、スキンシップが極端に欠如した環境で育てられると、赤ちゃんの免疫力が低下して病気にかかりやすくなったり、情緒機能やコミュニケーション能力の発達に問題が起こりやすくなったりするのです。

 

「自閉症児は、他者(親も含む)との絆(関係)が構築されてなく、子どもは自らが拒絶されていると感じ、自分を守るために殻に閉じこもっている」という仮説に基づいて、自閉症児を泣いても、わめいても強制的に抱きしめるものです。しかし、「自閉症治療ガイド」の著者のゲルラッハ(Ms. Gerlach)は、自閉症児の中には、抱っこされると反り返ったり、嫌がったり抵抗する子供も多々あるので、抱っこ療法は自閉症児にとってストレスを与えるかもしれないと正しく指摘しています。本質的にすべての子どもに有効であろうとは言われていますが、自閉症の治療として、医学的な観点からは根拠はありません。

 

 

【関連/引用/参考サイト】

K.キーティングの抱っこ療法(hug therapy)-Keyword Project+Psychology

対人関係としての母と子の絆-仔猫の遊び場

Attachment therapy - Wikipedia

Attachment Treatment and Training Institute

Adult Attachment Therapy - The Institute For Attachment & Child Development

[PDF]Attachment Theory and Emotionally Focused Therapy for Individuals and Couples

 

 

■キレーション療法 Chelation Therapy

Image:健康院クリニック
Image:健康院クリニック

キレート剤を点滴して行う解毒治療。もともとは第一次世界大戦時に於いて毒ガスの被害を受けた兵士に対して行われ、その後、鉛中毒に対しても効果があると認められました。現在では正規の解毒治療として広く知られ、体内から有害なミネラルや老廃物を取り除くデトックスの一つとして、主にアメリカで行われています。自閉症に関しては、予防接種のワクチンなどによって引きおこされる水銀中毒が一因ではないかという仮説のもと、サプリメントを摂取し続けることによって水銀を排出するデトックス治療として用いられています。

ただ、キレート療法には、科学的根拠がありません。LANCETという有名な医学誌に論文が掲載されましたが、著者が「ワクチン被害者裁判の原告から資金援助を受けてデータを捏造した論文だった」と発覚、論文は撤回されています。


キレート療法で使うサプリメントは高額であり、長期間使い続けることによって、必須ミネラルなども一緒に排出してしまったり、腎臓障害などの副作用も強かったり、身体に大きく負担がかかります。最悪な場合、20058月に5歳の自閉症児がキレーション治療中に心肺停止で死亡したケースもあり、有効性や方法については賛否両論があります。

 

 

【関連/引用/参考サイト】

日本キレーション治療普及協会

ら・べるびぃ株式会社

お父さんの[そらまめ式]自閉症療育: キレート療法を斬る

自閉症と水銀 -TBS報道特集を斬る-  

 

 

■ホメオパシー Homeopathy

Image:保健師miriのBlog nurse's office W&C STELLA
Image:保健師miriのBlog nurse's office W&C STELLA

「極度に稀釈した成分を投与することによって体の自然治癒力を引き出す」という思想に基づいて、病気治す思想で200年以上前、ドイツの医師医療ライターであるサミュエル・クリスティアン・フリードリヒ・ハーネマン(Samuel Christian Friedrich Hahnemann)によって創始されました。

 

現代のホメオパシーは、ある病状を引き起こす成分をそのままでは有毒であるので水によって極めて高度に希釈(レメディー)したものを砂糖に染み込ませます。希釈の度合いは、通常の科学的常識に反し、薄めれば薄めるほど効くとされています。あまりにも高度に希釈されているため、原成分は1分子も残っていない可能性が高いので、ただの砂糖玉同様なのですが、科学的根拠及び有効性が全くないのにもかかわらず、今日でも欧州を中心とした複数の国にホメオパシーは浸透しているみたいです。

 

2005年ランセット誌に掲載された論文(これまでのホメオパシーに関する臨床試験を綿密に検討し、メタアナリシスを行った上、プラセボ以上の効果はないと結論づけた)は、ホメオパシーの有効性研究に対する集大成であり、最終結論と評価されています。また、サイモン・シンらが行った根拠に基づいた医療(EBM)手法を用いた調査において、ホメオパシーはプラセボ以上の効果を持たないとして、その代替医療性は完全に否定されている。

 

近年日本国内でも、与えるべきビタミンKシロップを与えず、いわゆる「レメディー」を用いて新生児を死に至らしめたとして助産師が訴訟を起こされた「山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故」のように、通常の医療処置を拒んだために、複数の死亡例が出て、ホメオパシーの危険性を指摘する声は高まっています。

 

未だ欧州、インド、中南米各国など民間医療として普及している国は多いのですが、自然科学の研究者の間ではホメオパシーが疑似科学であることは間違いないとされており、日本においては日本学術会議が2010824日、ホメオパシーは荒唐無稽と公式発表。その効果について全面否定し、医療従事者が治療法に用いないよう求める会長談話を発表しました。 

 

しかし、2014年現在もまだこの方法を実践されて、効果をあげている方々がいらっしゃるのも事実。科学的な証明はまだないにしろ、グルテン・ガセインなどの他の治療と同様、効果の有無は個人差があるようです。

 

 

【関連/引用/参考サイト】

自閉症ホメオパシー(始める前に考えて!) - とらねこ日誌

自閉症 : シアトルで子育て

ホメオパシー自閉症を明確にターゲットにしています。-お父さんの[そらまめ式]自閉症療育

医療敬遠に危機感 元利用者「洗脳されていた」 日本学術会議、ホメオパシー否定-朝日新聞