自閉症の症状 / 特徴   
Symptoms / Characteristics

ダウン症などの外見に特徴がある障害と異なり、自閉症は、なかなか見分けがつかない障害です。一見したところでは、健常者とあまり変わりませんが、見たり聞いたりすることや感じることを普通の人と同じように理解することができません。「メタ認知力」が弱いため、人と関わることや、自分の気持ちを伝え、相手の気持ちをくみと ることがとても苦手。行動も自分勝手に見えることがあります。普通の喋り方やコミュニケーションのもち方、人や物事への適切な関わり方を習得することは、 非常に難しいのです。

 

症状には個人差があり、一人一人異なります

「目が合わない人・目が合う人」「言葉が話せる人・話せない人」「こだわりが強い人・弱い人」など。。。100人いたら100種類の自閉症がありますが、共通した3つの特徴が、3歳くらいまでに表れます

Image:サンスター財団
Image:サンスター財団

 

対人関係における障害

   他人との関係・社会的な関係を上手に作ることが苦手

コミュニケーション障害

   言葉をきちんと使ったコミュニケーションをとることが苦手

イマジネーション障害

   様々な場面で想像力を駆使した遊びや活動が困難で、

       個々の興味関心が狭く、特定の物や人などに強くこだわることが多い

 

※注※

これらの大まかな共通した特徴はあるものの、下記のすべての細かい症状が、すべての自閉症者に必ず表れるわけではありません。


① 対人関係における障害

Image:by Vladimir Yaitskiy CC BY-SA 2.1 JP
Image:by Vladimir Yaitskiy CC BY-SA 2.1 JP

 

■周りの世界に無関心(のように見える)

自閉症というと、「自分の殻にこもる」というように、人づき合いが乏しいと思われがちですが、そうとは限らず、見知らぬ人に突拍子もない言葉をかけてしまうなど・・・自分と相手との関係を正しく理解できないために不適切な行動をとってしまうのが特徴です。

 

乳幼児期では、おとなしく、手がかからず、人見知りがなくて誰にでも平気で抱かれたりするので、最初はいい子と勘違いされがちですが、両親、家族など、自分にとって重要な人物が重要であることがよくわからないので、親が近づいてきても抱き上げられたい素振りを見せなかったり、後追いが乏しかったり・・・と親への愛着が乏しく、目で合図を送らない、呼んでも振り向かない、笑わないといった兆候が見られることがよくあります。逆に、人見知りや後追いが極端に強くて 12才を過ぎても、お父さんにすら自分の世話をさせないという子もいます。あやしたときの反応が乏しく、手遊び歌をいっしょに楽しむカが伸びにくいこともあります。 

 

23才になると友達を意識した行動をし始めるものですが、自閉症では友達への関心が薄かったり関わりはもてても極端に一方的だったりします。学校に上がる年齢になっても相手の気持ちを理解することが苦手で、協調・共感が出来ないので、スムーズに友だちを作れない・仲間になれないことが多いようです。(会話やその場の雰囲気を理解出来ない、冗談を冗談と受け止めず真に受けてしまう、言外の意味を捉えられない など、対人関係に問題を生じやすい。)

 

② コミュニケーション障害

 

■ 言葉がない・遅れ(言葉を使って話しかけない)

自閉症では、幼児のときには、ほとんどの子に話し言葉の遅れが見られますが、中には言葉の遅れのない子もいます。診断上重要なのは、遅れのある・なしより、言葉の獲得の偏りや奇妙さです。

 

通 常、子どもはパパ、ママ、ネンネなど、「人に対して使う日常に必要な言葉」から覚えていき、覚えた言葉はさっそく使ってみます。一方、自閉症の子は興味が あるものや繰り返し聞く言葉は言えるのに、肝心の「ママ、パパ」といった言葉を言わなかったり、言葉を発しても、意味をなさなかったり、一般的でない言葉 使いをしたり、異常な韻や音程をつけて話したり、独り言をつぶやいたり・・・ということが多く見られます。 もうずいぶん昔の映画になりますが、アメリカ の映画「レインマン」を覚えていますか?自閉症を抱えた主人公を演じたダスティン・ホフマンが常に何かをつぶやいているというシーンが多々ありましたが、 あんな感じです。

 

Image:by Kris Krug CC BY-SA 2.1 JP
Image:by Kris Krug CC BY-SA 2.1 JP

 

■ オウム返し(反響言語=エコラリア)

自閉症の子供は、自分に話しかけられた言葉をそのまま繰り返して使う「オウム返し」が大きくなっても残ることもあります。

 

【注:オウム返し】呼びかけられた言葉をそのまま返します。「ジュースほしい?」と聞かれて「ジュースほしい?」と答えます。イントネーションも語尾が上がった疑問形のままです。こんな答えの場合、本当にジュースがほしいこともありますが、ホントは飲みたくなくも、オウム返しで「ジュースほしい」と答えてしまっていることも多いです。

 

 

■ 他者と自分の体験の共有ができない

自分の体験と他者の体験が重なり合うという一体化を感じることができないために、他者の立場になって考えることができないのです。他者との情緒的接触の欠如により、行間の理解とか微妙な言い回しとか皮肉、当てこすりといった言語外の意味を理解するのが困難です。つまり、髪の毛を切ってイメージチェンジした女の子に対して、「変な髪形」と言ってしまうなど、感じたことをそのまま言ってしまったり、ある人が一種の社交辞令として言った「いつでも遊びに来てね。」と言った一言を鵜呑みして、本当に毎日遊びに行ってしまうなど人の言葉をそのまま受け取ってしまうのです。

 

 

■ 人称代名詞の逆転

他人のすることを自分の立場に置き換えられずにそのまま真似するため、自分のことを「あなた」などの二人称で、相手のことを「わたし」などの一人称で呼んだり、家に帰ってきたときに「ただいま」ではなく「お帰り」というように、相手の言うべき言葉を言ってしまったり、“バイバイ”と手を振るときに、見えたとおりに手のひらを自分のほうに向けて振る「さかさまのバイバイ」をすることもあります。

 

 

■ 指さしをしない (クレーン現象)

何かして欲しい事を言葉で伝えず(伝えられず)、近くの人の手を引っ張って対象物の所まで連れていく行動をします。

 

 

高機能自閉症/アスペルガー症候群本人が語る コミュニケーションを取る難しさ

 

テンプル・グランディン:『自閉症の才能開発』(学習研究社) (T. Grandin: Thinking in Pictures)

「私は画像で考えるのです。言葉は私にはまるで第2言語のようなものです。私は話し言葉や書き言葉を,音声つ きのカラー映画に翻訳するのです。ちょうと頭の中でビデオテープを再生するような感じです。」(拙訳)

 

グニラ・ガーランド:『ずっと「普通」になりたかった。』(花風社)

「私の場合,言葉で説明を聞いても,頭の中で絵にならなければ,どこかへ飛んで行ってしまう。あるいは,単に 言葉としてだけ意識に残り,“構造の面白さ”や“語感”を味わうだけで終わってしまう。」

 

ウェンディ・ローソン:『私の障害、私の個性。』(花風社)

「自閉症の人々とコミュニケーションをとるのは,簡単なことではない。ことに,知的障害も重複している人が相手な ら,なおさらだろう。でも,私はこう考えている。私たちは単に,ほかの人たちとは別の地平に立ってコミュニケート しようとしているだけなのだ。だから,そのことにさえ気づいてしまえば,互いにわかり合うための手だては,工夫で きるのではないだろうか。 私にとっては,書きことばの方が,話しことばよりもずっとわかりやすい。音声の会話を消化して,それぞれの単 語にくっついている意味を理解しようと思ったら,ページに印刷してあることばを目で追っていくよりもはるかに時 間がかかる。 きっとこれは,人との会話だと,ことばを聞くほかに,相手の顔の表情も解読しなければならないし,ボディ・ラン ゲージも研究しなくてはならないせいだと思う。」

 

 

③ イマジネーション障害

               ↕ 上の写真の子ども、下の写真の子ども、どちらも、「モノをきれいに並べる」という自閉症特有の症状が見られます。
               ↕ 上の写真の子ども、下の写真の子ども、どちらも、「モノをきれいに並べる」という自閉症特有の症状が見られます。

 

■ こだわり

   物への不適切な愛着、特定の物・行動に対する執着)

「こだわり」とは自閉症の人だけが持っているものではありません。お気に入りの枕がないと寝られない、電車でいつも同じ席に座る・・・など、普通の子供や大人誰にでも大なり小なり何かしらの「こだわり」はあるのではないでしょうか?その「こだわり」を得ることによって、私達はみな安心を得ているのですが、自閉症の人達が異なるのは、物事を正しく認知した上で「こだわり」が成り立っていないことです。

 

例えば、いつも乗っているバスがたった数分遅れただけで、その日一日を送ることができなくなってしまうといった感じで、日課や道順のように一度プログラムを手にしてしまうとそれを変更するのは難しいのです。「こだわり」は自分達が作り上げたのではなく、日常生活でなにげなく繰り返しているものがいつの間にか、習慣となり定着していくのです。不安が強い時や落ち着かない状態の時は「こだわり」も強く、時には強迫的になったりもします。自閉症の人達にとって状況と関連させながら行動をとることは苦手。不測の事態が起きるとパニックに陥って、 本来ならできるはずのことができなくなってしまいます。そのため“いつも同じ状態であること”に強く固執します。

Image:Wikipedia
Image:Wikipedia

自閉症の「こだわり」は、特定の「もの」に対しても強く見られ、自分が気に入った「もの」があると、1日でも1ヶ月でも1年 中でも繰り返し遊びます。自閉症の患者さんには、気に入ったものはすべて自分のものであるという認識がありますので、気に入っているものを他人が使ったり することはとても嫌がります。何にこだわるかは人によって違うので、まさかこういう「こだわり」が…というような事もたくさんあります。下記は、自閉症の 人によくみられる主な「こだわり」の例です。

 

 

【道順】

いつもと同じ道順をたどりたがります。人によっては、その道が工事中などで通行止めになっていると、立ち往生してしまって、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。

 

【洋服】

同じ気に入っている服を穴があいてボロボロになったとしても、繰り返し着たがる。「青い服でないと着ない」など、色にこだわる人も。新しい衣服などを嫌がる。

 

【物の位置】

物の置き場所に勝手に決め事を作り、部屋の模様替えを嫌がります。おもちゃを置く場所

やその配置、本や棚のもの、名前カードの並べ方、服の置き方、玄関の靴なども順番を自分なりに決めていて、必ず同じ場所に同じ順番で並んでいないと精神的に不安定になってしまう。何かでちょっと動かしたりすると、自分で元のように並べ直す。

 

【物を並べる】

一 列に並べることに没頭したり、部屋いっぱいにものを並べたりすることも多く、その並べ方にも自分なりのこだわりがあり、いつも同じ順番で並べることが通 常。誰かが順番を変えたとしても、それに気づくとすぐに元の順番に戻す。また、物の片付け方についても決まったように行う。

 

【日常生活】

朝 起きてから、夜寝るまで同じ時間に、同じ順番で一日を送ることを好む。変化に対応することが難しく、日課が変更になったりするとストレスの原因に。例え ば、「風邪をひいていて、高熱があっても、お風呂に入らなければ寝てくれない」といったことがある。一度「お風呂に入る→寝る」という日課が習慣になって いると、その日課を変更することが難しいらしい。学校で出席を取る順番などにも常に一定でないと不安になるようで、行事による時間割変更や天候によるイベ ント変更などには初めはなかなか慣れない子どもには前もって知らせることが必要。

 

【言葉】

同じことを何回も繰り返して質問して、同じ答えを要求し、答えとして帰ってきた言葉を何度もひとり言のように繰り返すこともある。質問の答えが知りたいので はなく、同じ答えが返ってくることが安定感をもたらすよう。なので、同じ答え以外のことを答えると、パニックを起こすこともあるので注意が必要。しかしそ れほどこだわりが強くない時に話題転換をすると、片言だが、会話が成り立つ時もあり、こだわりがその話題に移ることがある。

 

【環境】

自 分の事に関するものだけでなく、周りの様子をよく見ていて、何の気なしに普段行なっていたり、見ていたりすることに変化があると不安になることがある。例 えば・・・他人の髪型が変わった、普段かけているめがねと違う、友達が新しい車椅子に乗っている、といった自分以外の周りの環境の変化にとても敏感な人も いる。

 

【食物】

同じ食べ物を飽きずに繰り返し食べたり、ひどい偏食がある人もいる。

 

【遊び】

あ る程度大きくなっても、「穴に入れる」とか「押すと鳴る」といった単純なおもちゃに熱中する。また、常同運動といって、手をヒラヒラさせる、上下に飛び跳 ねる、手をたたく、クルクル回る、まったく同じやり方で繰り返しものを回転させる、体を前後に揺らすなどの、動きに没頭することもある。

 

【驚異なこだわり--機械的記憶】

電車やマーク、文字、数字、特定のキャラクターなどに強い偏った関心を示すこともある。こうした偏った強い興味は、少し大きくなると特殊な能力として発揮されることもある。

例えば。。。

 

・教えないのに2才でアルファベットが書けてしまう

・世界中の国旗の国名が言えてしまう

・過去や未来のどの日付を言われても曜日を即答できる

・興味を持った教科は成績がトップ

・いつまでも、学校であった運動会や遠足などの行事の日/大勢の人の誕生日/小学部から高等部までの12

   間の学芸会のセリフなどを覚えている。(というよりは、「消えないで残っている」ようです。)

・一度車で行った場所に、自宅から徒歩でも行けるほど道のりを覚えている

・音楽や絵画などに大変優れた能力を発揮する

 (一度聴いただけの曲をピアノで弾くことができる/一度見た風景を絵画で表せるなど)

 

このように、自閉症の人の「こだわり」は、時として天才を生み出すことにも繋がるのです。相対性理論のアインシュタイン博士も高機能な自閉症かアスペルガー ではなかったのか、といわれていますし、山下清画伯は才能を開花させた自閉症であったと考えられています。興味のあることを伸ばしてあげることは社会的な 自立にも繋がりますので、思うように没頭させることも大切です。

 

 

④ 自閉症のその他の特徴

Image:by kellynphillong CC BY-SA 2.1 JP
Image:by kellynphillong CC BY-SA 2.1 JP

 

■ 感じ方の違い

自閉症では、【視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚】五感を大脳で正しく情報処理できず、奇妙な反応を示すことが多くあります。感覚は機能していますが、反応が独特、一貫性がなく、極端に鈍感であったり、過敏に反応したりします。

 

【視覚】 

視線が合いにくかったり、逆に失礼なほど他人の目を凝視したり。微妙な目配せの意味もなかなか理解できません。横目でチラッと一瞬見るだけだったり、目の前で指をヒラヒラさせてその隙間から見たり、本はページを親指でパラパラ動かしながら見たり。。。と、おかしな角度からものを見る場合が多いです。

 

先述した映画「レインマン」で床に落とした、沢山のつまようじの数を一瞬にして言い当ててしまったり、一度飛行機の上から見た景色を細部に渡って描けるなどといった例は極端ですが、自閉症の人は、記憶を言葉ではなく、視覚から得ている場合が多くあります。今後の予定を伝えるときには、口頭ではなく、写真や絵を使ったカードで指示すると理解しやすいと思います。

 

【聴覚】 

特定の音や鳴き声に過敏で、大声で呼びかけても振り向かないのに、お菓子の袋を開ける小さな音やテレビのチャンネルを替えるかすかな音でとんできたりします。耳ふさぎをして、音の大きさをなんとか変えようとしたり、多少は人によって異なりますが、普通にはなんでもないテレビのコマーシャルや動物の鳴き声、サイレン、人のざわざわした話し声、赤ちゃんの泣き声や子どもの悲鳴などで、強い不安感を持ったり、時には急にパニックを起こすこともあります。


音は大脳皮質で情報処理されて、こんな音量・こんな音色とか、あのとき聞いた音とか、認識されるわけです。自閉症では、この情報処理の過程に問題があって、日常のありふれた音を耐え難く認識してしまうことがあります。その子には、ふつうの音がガラスを爪でこするようなイヤな音に聞こえるのかもしれません。

 

その現象が起こる場に近づかないことが最適ですが、それは根本的な解決にはなりません。環境を変えて解決するのではなく、その環境にいても解決できる方法を見つけるのが一番効果的といわれています。ある自閉症児は「自分の嫌なサイレンの音が聞こえると、ある特定の言葉をいつも言うことで気を紛らわすことができた」など、独自の解決法を見出したり、段階を踏んで、その場に慣れさせていくのが大切だと思います。

 

【味覚】 

小さい頃はひどい偏食で食べ物にこだわる子も結構多いのです。味に敏感すぎて、特定のメーカーのものでないと食べられない子もいます。例えば、「お米は”こしひかり”でないと食べない」、「ラーメンはこのメーカーのもので、水の分量は○○ccでないとスープの濃さが変わってしまうので食べない」という子どももいます。

 

【嗅覚】 

なんでもかんでも匂いをかいでみないと気がすまない子がいます。

 

【触覚】

そっと触られたり、頭をなでられたりするのが苦手であったり、木綿の下着を紙やすりのように痛いと感じるなど敏感な子がケガの痛みに対しては極端に鈍感な場合もあります。暑さ寒さにも鈍感で、冬に平気でTシャツだけで出かけたり、夏になって、汗びっしょりになっていてもコートを脱げなかったりする子もいます。

 

 

■3K 「危険 Kiken」「きれい/汚い Kirei/Kitanai」「決まり事 Kimarigoto」

 

危険・・・多動

手を放すとどこに行ってしまうかわからないといった落ち着きのなさ。その多動な動きは、手を離せば、次の瞬間にはもうどこかに行ってしまうほど、じっとさせ ておくことはまず不可能です。朝起きてから、夜寝るまで、ずーっと動きっぱなし。素早く動き回り、しかも、周囲の状況が見えていないので、いつも監視して いないと、何をしでかすかわかりません。興味のあるものが見えれば、車が走っていていても、パーッと飛び出して道を渡ろうとする子もいます。高いところに 興味がある子は、どんなに足場が不安定でも、その安全性を確かめることなく、高いはしごにのぼってしまいます。家にいる時も、外出する時も必ずしっかり手を握るか、そばについて離れないようにしなくてはいけません。

 

この多動という症状は、しばしば落ち着きのなさばかり目立ってしまうため、自閉症なのに注意欠陥/多動性障害(AD/HD)と誤って診断されてしまうことがあります。「自閉症とADHDの多動の違い」については、こちらの「昇平てくてく日記」に詳しく書いて下さっていますので、是非参考に。

 

 

【きれい/汚い・・・違いがわからない

街で見かけた誰かの飲み残しのジュース、道に落ちている食べ物など。。。普通のこどもならある程度の年齢になると「きれいと汚い」の判別はつくものですが、自閉症の子はなかなかそれを理解するのが困難です。うっかり目を離すと、口にしてしまうかも。

 

重症の自閉症児の中には、「自分の排泄物が汚い」という感覚が薄く、下着の中にお漏らしをしてしまってもそのままにしていたり、下着の中に手をつっこんでは排泄物を周囲の壁やカーテンになすりつけてしまう・・・という行動をとってしまったりします。

 

【決まり事・・・社会的ルールの理解欠如 

「お店に並んでいるものは、お金で買ってからでないと食べてはいけない」とか、「公園でブランコに乗るのは、他の子と一緒に列に並んで順番で」などの決まり事が理解できず、かなり大きくなっても、「勝手にお店のものを開封して食べてしまう」とか、「並んでいる他の子供たちを押しのけて、ブランコに乗ってしまう」といった行動に出てしまいます。

 

 

■ パニックと問題行動

自閉症児を育てている親が持つ悩みのひとつに“パニック”や“問題行動”があります。

 

健常児なら「なんらかの理由でいつもと違うことが起こってる」と理解し、柔軟に対応していくものですが、自閉症の人は、その特徴にもある「こだわり」がある ために、変化に上手く対処していくことが困難です。普段はおとなしくて、何の問題もないと想われる子供でも、突然何の前触れもなく、パニック状態になり、問題行動に走ってしまうのです。

 

原因やケースは人それぞれですが、例えば・・・

 

・いつも通っている道が事故で通れない

・いつも座っている席に他の誰かが座ってしまった

・いつもと違う時間に何かをする

・いつもと同じ場所に何かがない

・スケジュールが突然変更になった

・理由もわからずに自分のしたい行動を規制された

 

など。。。普段と変わらない生活の中で何かを我慢しなければならないような状況や、あらかじめ事前に知らされていない出来事、物事が起きたり、自分の思いを うまく伝えられなかったり、不馴れな場面で混乱したりすると不安になってしまい、その不安な気持ちをコントロールすることができないため、パニック症状が 起こります。

 

症状の度合いも異なりますが、泣き叫ぶ・暴力をふるう・破壊行為(物を投げる、ドアに体当たりする、食器をひっくり返すなど)といった相手に矛先を向ける 「他傷行為」から、自分自身に向けてしまう「自傷行為」(自分や特定の相手の指や手、頭などを叩く、髪を引っ張る、髪を抜く、つねる、かむなど)、その場 から逃げ出すといったものがあります。

 

「他傷行為」とは、周囲の人に対する攻撃や恐怖、「友だちと関わりたいけれどうまく関われる自信がない」という悔しさの現われです。相手の感情が解からないので、「相手を怒らせ、その反応を見て安心する」といった奇妙な行動をとることもあります。例えば、聴覚過敏で泣き声が嫌いな自閉症の子どもは、泣いている 子どもをたたきに行ってしまうこともありえるのです。強く叱責するとかえってエスカレートするので注意が必要です。

 

「自傷行為」とは、自信の無さの現われです。自分に対する怒りの表現で、怒りの抑圧が強い自閉症の子どもたちは、その怒りがもろに自分自身に向いてしまうのです。「やってはいけない」と分かっていても 感情を自分で抑えられず、強く叱ると、自分では止めることができないジレンマから パニックを起こしたり、自傷行為が出たりするのです。

 

パニックの原因は成長と共に変わったり、いざパニックを起こしてみるまではわからなかったりするので自閉症の人全員に効く具体的な予防策は、残念ながらありません。<問題行動の殆どは、子どもからのSOS> だとおっしゃってる方もいるように、とにかく、「何に対してパニックを起こすのかを知り、パニックの原因を作らないようにしておく」のがてっとり早 い対処法です。しかし、日常生活を送る上で変化を避けることは不可能ですので、不安にならないように、小さい頃から少しずつ「変更」について慣れさせることが必要。ただ、気をつけなければいけないことが・・・

 

必要以上にワガママ(こだわり)に応えてしまうと「我を通そうとするワガママを頻繁に受け入れると、子どもはそれに慣れてしまい、さらにワガママを言う」ようになってしまいます。かといって、ワガママに断固として応えない厳しい態度で接し続けてると「子どもが精神的に萎縮して、手がつけられないほどパニックがエスカレート」などということにもなりかねないので、通常の子育てと同じで、ワガママ(こだわり)に応える/応えない のバランスを上手に使い分けて、日常生活に起こるさまざまな変化に対応できるようにトレーニングすることが大切です。

 

しかし、どんなにトレーニングをしても、こだわりを持つことは自閉症の特徴でもあるので、どうやってもこだわりを持ってしまう人は持ってしまいます。思春期になっても、大人になっても、小さい子と同じような振る舞いが続く可能性があるので、何が何でもやめさせるといった強硬な姿勢を取ることはやめ、根気よく付き合っていくことが大切です。

 

 

■ 睡眠障害

自閉症児は幼少期に睡眠が問題になることが多く、養育者の非常に大きな負担になっています。

 

乳児期、赤ちゃんはお腹が空いたり、オムツが汚れていたりすると、数時間おきに目を覚ましますが、一般的には成長するにつれて睡眠のリズムも整ってきます。しかし、自閉症の子どもは、個人差がありますが、「睡眠のリズムの確立が遅れがち(3才になっても2時間おきに目を覚ますなど)で、睡眠時間が不規則、寝る時刻が一定しない。」などといった睡眠障害の症状がある場合があります。

 

重度の睡眠障害となると、寝付きが異常に悪く、興奮してなかなか寝らなかったり、真夜中に起き出し一晩中遊んでいたり、昼寝もしないのに、平均睡眠時間が一晩1時間以下となることもあります。

 

自閉症児を抱えているある親御さんは、ブログ「自閉症児と健常児の子育て」の中で「睡眠障害の症状がある自閉症児」についてこのように書いています。

 

相当苦労していました。起きていてもおとなしくしててくれればよいのですが、もちろんそういうわけにいかず昼間のように遊ぶのでたんすの上から飛び降りたり!隣 りや下の階の人にいつ注意されるのかと思うと、いつも神経がとがっていた、と言います。幸い、年齢が上がり外で遊ぶ機会が増えたためか、夜寝てくれるよう になったのでよかったのですが、親は寿命が縮みそうです。そういううちも、以前住んでいたマンションの下の住民から苦情が来ましたけど。

 

人間は眠らないと死んでしまうので、症状がひどい場合は、医師の診断のもと、安定剤や睡眠剤を処方するのが良い方法と言われています。アメリカでは、街のド ラッグストアなどで簡単に入手可能なメラトニンという薬を服用するのが睡眠リズム障害の患者さんには一般的だそうですが、日本ではまだ認可されておらず、 アメリカからの個人輸入という形をとっているみたいです。

 

 

■ 時間の理解が苦手

時間の概念を理解したり、出来事と関連付けて考えたりすることに困難さがあると言われています。

 

目に見えないことだけに、時間の経過を理解し、1日の時間の流れ等を組織化する中で生活することが難しいのです。「時間はとまらず、何もしなくても流れていく」という理屈は、普通の人達には当たり前ですが、自閉症者の中には理屈は分かっていても、実際に理解できていないことが多いのです。そのため、「待つこと」が苦手で、公園で沢山の子どもが並んでいるのに、なんで並んでいるのか、なんで順番なのか・・・といった社会的なルールが理解できず、みんなを押しのけてブランコを使ってしまうのです。

 

ある自閉症児のお母さんは、ブログ「わたしと猫さん家族♪ドッキン物語」で、自閉症の人が待つ事が出来ない理由として、こんな面白い話をされています。

 

時間の認識がまず一般の人間とは違うのです。タンタンには「時間」というのは一直線に繋がっているものではありません。今、人間が暮らしてしる次元は三次元ですが、タンタンの意識は三次元にはありません。

 

身体は三次元ですが意識は四次元らしいです。質問と同時に答えが存在する。 時間を物質として見ることが出来るのだと思います。ですが実際に身体は 三次元世界にある為に心身の一体感は感じられず身体がバラバラに感じるのでしょう。

 

事実いつもタンタンは「カラダをくっつけて!バラバラ」と言います。勝手に 身体の何処かに言ってしまう、と言うよりも意識が離れてしまうようです。 わたしが側で見ていて感じることは、本人は自分の身体が何処から 何処まで在るのか?よく分らないのだろう、という事です。

 

タンタンの意識が四次元にあり、身体は三次元、その不安と恐怖でパニックを 起す事が多いのかも知れないという事も感じます。待つ事が出来ないのは 普通の人から見れば、おそらくわがままという風に捉えると思うのです。

 

また、時計で時間が分かるような自閉症児者のなかには、時間に強迫的になり全ての事柄がまさにその定められていた瞬間に起こる事を要求する例がみられる事があります。

 

例えば・・・・

5分待っていて」と約束したのに617秒も待たせたと被害感を持つ。

逆に420秒で戻れば、まだ5分経っていないので待ち続ける。

 

・・・といったことです。

 

そして、何もする事が無い時間や目前の予定が決っていないあいまいな時間に非常に不安と恐怖と感じるようです。そのため、物理的構造化やスケジュールの提示、課題や作業の手順(ワークシステム)提示等においては、視覚的情報提供のもと、時間や空間を構造化、組織化することで、活動への見通しを持たせ、心理的に安定する中で学習指導を進めることが必要と考えます。

 

 

■ 選択肢を立てることが苦手

健常者は、「何をするか、どこへ行くか・・・?」と計画を立てて行動しています。そして困難に直面すると、「どのように乗り越えたらいいのか・・・?」を考 えてさらに行動に移していきます。自閉症者はこのプログラミングを苦手としているので、「これから何をしたい?」「どこに行こうか?」といったような質問 に答えることがとても苦手なのです。その代わり、「歌を歌いませんか?」「散歩に行きませんか?」といった「はい」「いいえ」で答えられるような具体的な 選択肢をこちらが立てる方が答えやすいでしょう。

 

 

■ 奇声をあげる

自閉症の赤ちゃんでなくても小さい子供さんの場合には突然奇声を上げることがあるので、一般的に自閉症であるかどうかを奇声だけで判断するというのは難しい です。しかし、ある程度大きくなっても奇声が続いたり、上記のような症状がある場合は、疑ったほうがいいかもしれません。

 

奇声は、基本的には不安の叫びです。言葉を発することができない不安や、こだわっていることがいつものようにできないことの不安などです。喜びに対してもブレーキがかかりがちの子どもはうれしい時にも奇声になってしまうことがあります。

 

 

2014年

5月

16日

自閉症の世界を理解するための5つのシミュレーション

自閉症スペクトラムに苦しむ人々は、外界から入ってくる情報に対して、適度なフィルターをかけて処理することができない。彼らの目で見た世界は、果たしてどのように見えるのか。

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