胎児内胎児(fetus-in-fetu)

3本足のストリッパー◆

 

アメリカには星の数ほどストリップクラブがあり、そこでは本職のダンサーのみならず、明日のハリウッドスターを夢みる女性たちが伸びやかな肢体を惜しげもなく晒して踊っています。酔客の注目を集めるというだけなら、彼女に敵うストリッパーは存在しないかもしれません。彼女は毎日、クラブのメインアトラクションに出演していました。 「オーストラリアからやって来た驚異の三本足」 との口上を添えられて。でもそれは偽り。本当はフロリダ州レイクシティの出身です。

彼女の名はクラウディ・ディ(Cloudy Day)。ディは1974年に生まれました。本来は双子として生まれてくる筈だった姉妹の胚がこわれ、より生命力の強かったディの体になかに取り込まれました。ディの体をレントゲン撮影すると、いくつかの臓器や骨が余分にあることがわかります。また彼女の左腿には、かすかながら手の輪郭さえ浮かんでいるのです。顕著な三本目の足は、彼女の脇腹から生え、ほかの足と比べても小ぶりですが、感覚があり、驚くべきことに彼女は自分自身の力でそれを動かすことができたそうです。

「子供の頃からちゃんと使えたのよ」インタビューで彼女はこう答えます。「邪魔にはならなかったし。 ただ、パンツは当然合うものがなかったからあつらえるしかなかったわね。 ワンピがベストよ。とくに(三本目の足を)紐でくくっておくようになってからはね。でもヘンなところがぽこっと脹らんでいるワケでしょ。それについてはちょっと困りものね」

ディは足を邪魔だとは思ってないようです。 そして彼女は将来X線技士になるべく看護学校で勉強しているのです。 踊ることについては父親の言葉からヒントを得たといいます。
「パパが子供の頃、遊園地に行くとサーカスの見世物小屋があったんだって。 そこには畸形がたくさんいて、みんなそれ見たさにテントのまわりに行列をつくったそうよ。何の因果か…ってやつね。そうやってお金を稼いでいる人たちがいることを知って、私は18のとき、この足を見せることを思いついたの。貧しかったし。迷わずにこのクラブに来て、オーナーのジェシーさんに仕事をしたいのって言ったわ。あとは誰も見たことのない踊りをと頑張ったわね」クラブオーナーのジェシー・ハーディン氏は、ディのショーが始まってから観客が大巾に増えたことを認めます。

「私は特別でも何でもないわ。 どこにでもいるフツーの女の子だし、なんにでもベストを尽くそうと努力するひとりの人間よ。 変わっていると思いたけりゃお金を払って見にくることね。 たいして期待には応えられないかもしれないけど、ステージで頼まれればオーストラリアのアクセントでも聞かせてあげるわよ」

ディは踊りも勉強も、両立させるため、彼女が19歳の夏に全国をツアーするプランを立てて、みごと成功。彼女は2000年に引退。家を買い、今では生まれ故郷で彼女のもうひとつの夢、X線技士を生業にしているそうです。

 

【関連サイト】

 ・Interview with Cloudy Day (1999年4月18-19日)

 

◆テキサスの4本足の女性◆

            Four-Legged Girl from Texas

 

ジョセフィーヌ・マートル・コービン(Josephene Myrtle Corbin)は、1868年5月6日、テネシー州のリンカーン郡で生まれました。


彼女は二臀体(dipygus)という症状で、ウエストから下に二つの骨盤が横並びにおかれていました。 つまり画像ではもう一体の下半身が彼女の股間に結合しているように見えますが、内側の足はそれぞれの外側の足とペアとなっているのだそうです。 彼女は大小どちらの足も動かせたそうですが、内側の足は弱々しく、歩行には適さなかったといいます。

コービンは、「テキサスの4本足の少女」 としてサーカスの見世物小屋に出演していました。19歳のときにクリントン・ビックネルという医師と結婚し、4人の子供を出産しました。うち3人の子供と残る1人の子供はそれぞれ別の骨盤から生まれたそうです。 

「Anomalies and Curiosities of Medicine(ジョージ・M・グールド、ウォルター・L・パイル共著)」 によると、コービンの背柱は第三腰椎から二つに分かれ、その下は下肢を含む全ての器官が二つあったといいます。 排尿排便はそれぞれ時間が異なり(つまり便意や尿意は別々あったのでしょうね)ましたが、生理は同時にあったそうです。


彼女は19歳で結婚、その一年後には左側の子宮で妊娠しました。しかしつわりがひどく、正常な出産が望めそうになかったため、妊娠四ヶ月で中絶を勧められました。これに関して、当時彼女を診た医師はコービンに左側で孕んでいることを告げると彼女はこう答えたそうです。 「おかしいわね。 右だったらわかるけど」。疑問に思った医師が遠回しに訊ねると、彼女はセックスするときには右のヴァギナを主に使用していたそうです。

彼女が亡くなったのは1928年。愛する家族と友人に看取られた幸せな最後だったそうです。

◆背中から「髪の毛」が生えている女児◆

 

中国寧夏回族自治区の海原県に住む9歳の女児、花ちゃん。不完全ながらも脊椎が二つあり、背中からは明らかに毛髪が。

母親、田鳳霞さんによると、花ちゃんは生まれたときから背中の皮膚の一部が頭皮に酷似。発毛が見られたといいます。その後成長しても食欲がなく、始終腹部の痛みを訴えていましたが、田舎の診療所では原因はわからずじまい。田さんら家族は、背中の毛も福を授かった子なのだと自分自身に言い聞かせ、過ごしてきました。


その後、花ちゃんの症状は悪化する一方。やがて両足の長さに顕著な差があらわれ、背中の毛は長いもので20センチを超えるほどに伸び、手でふれると明らかに背骨が2本あることがわかりました。すぐに、首府の銀川にある武警病院で受診したところ、花ちゃんはもともと双子として生まれる筈だったもう一人の胎児が寄生している胎児内胎児(fetus-in-fetu)。背中の毛髪が生えている部分はもう一人の赤ちゃんの頭皮だということです。

 

医師いわく、すぐに手術をしなければ将来にわたって花ちゃんの成長が阻害されるとのことですが、先立つものはやはり多大な治療費。頭を抱える田さんです。

 

胎児内胎児の中には、上の2人のように、複数の足があったり手があったり、わかりやすい例もありますが、花ちゃんのように、身体の中にもうひとりが入ってしまい、気がつきにくい例もあります。下記は、いろいろな胎児内胎児の写真です。このような障害を抱えて生まれた方も、壮絶な運命と闘って毎日を暮らされています。

   

【関連サイト】

生後3日目の赤ちゃんの脳から小さな手足

4本の手と4本の足を持つ男児―重慶

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生後七ヵ月の幼児の頭蓋に「畸胎瘤」

背中から腕が生えた女児

お尻から二本、余分の足が生えた赤ちゃん

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手足が四本ずつある赤ちゃん

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背中から腕の生えた11歳の少女