【助成/支援 Subsidies/Support

 

  雇用       
  Employment
     


日本もカナダも障害者雇用を促進するために、さまざまな助成制度が設けられていますが、その内容は少し異なっているところがあります。日本は、あくまでも対象障害者が規制の制度内容沿った支援を受ける形になりますが、カナダでは、支援内容はカスタムメイド。個人の障害レベル・環境・能力などを考慮して、決めて行きます。また、印象的に、日本の制度は、障害者を受け入れる企業側に配慮しているものが多いのに比べ、カナダの制度では、企業だけでなく、障害者本人に対しての支援も配慮されています。


 

 

 

障害者のレベルによって、提供される固定支援制度

 

 

 

障害者委託訓練(訓練委託料) 厚生労働省

正式名称は「障害者の態様に応じた多様な委託訓練」。 ハローワークに求職登録をしている障害者を対象に、障害者の能力や適性、地域のニーズに対応した職業訓練を実施し、就職に必要な知識・技能の習得を図る制度。各都道府県の職業訓練校などに配置されている「障害者職業訓練コーディネーター」が、訓練受講生の状況の把握や企業等との調整を行います。下記の5コースがあり、OA事務・パソコン実務・訪問介護員養成・パン/菓子製造・ハウスクリーニング・商品管理などを学びます。

 

  • 知識・技能習得訓練コース(民間教育訓練機関、社会福祉法人、NPO法人等における就職の促進に資する知識・技能を習得する訓練)
  • 実践能力習得訓練コース(企業等の事業所現場を活用して、就職のための実践能力を習得する訓練)
  • e-ランニングコース(通所が困難な重度障害者等が在宅にてIT技能等を習得する訓練)
  • 特別支援学校早期訓練コース(特別支援学校高等部に在籍する生徒に対して、就職に向けた職業能力の開発・向上を目的とする訓練)
  • 在職者訓練コース(在職障害者に対して、雇用継続に資する知識・技能を習得する訓練)

 

訓練期間は、原則3ヶ月以内で月100時間以内。 受託機関に対し、受講生1人当たり月額60,000円を上限(期間途中で訓練を中止した場合は減額)として、訓練終了後に委託料が支給されます。障害者自身のスキルアップを目的とする訓練の受講という性格上、訓練者本人に対する手当等の給付はありません。

 

 

障害者職業能力開発校制度  厚生労働省:障害者職業能力開発校一覧

身体障害者や知的障害者・精神障害者などに対して、様々な職業についての知識や専門的な技術・技能の習得を行うための公共職業能力開発施設。職業能力開発促進法第十六条に基づいて、国立が13校、都道府県立が6校、全国に19校が設置され、国立の13校のうち2校は独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に、 11校は都道府県に運営を委託しています。「授業料無料、基本手当および技能実習手当がもらえる、遠距離の方へは寮完備」となっていますが、自力で通校/通所が可能であるなどの一定の条件を満たすことが必要です。

 

 

トライアル期間助成制度 

 

  • トライアル雇用(試行雇用奨励金) [PDF] 厚生労働省

    職場に適応が可能か、企業と障害者がお互いに実際に確認してから、本雇用に進むかどうかを決めることができる制度。事業主と障害者との間で3ヶ月を限度として有期雇用契約を結び、お互いに適性を確認した後、本採用(常用雇用)となります。この期間中は、事業主から対象労働者に賃金が支給され、事業主には試行雇用奨励金(月額40,000円限度)が支給されます。(※3ヶ月の途中で常用雇用に移行することも可能。トライアル雇用の期間を経過し、常用雇用に至らなかった場合は、契約期間満了による終了となります。)

     

  • 精神障害者ステップアップ雇用奨励金/グループ雇用奨励加算金 [PDF] 厚生労働省 

    短時間労働からスタートすることが適切といわれることの多い精神障害者を、6~12ヶ月の有期雇用(週労働時間10時間以上20時間未満)で雇入れ、徐々に就労時間を延長し、週20時間以上の勤務を目指すもの。この期間中は、事業主から対象労働者に賃金が支給され、事業主には試行雇用奨励金(月額25,000円)が支給されます。期間の途中で常用雇用に移行することも可能。ステップアップ雇用の期間を経過し、常用雇用に至らなかった場合は、契約期間満了による終了となります。

     

  • ジョブコーチ支援(第2号職場適応援助者助成金) 高齢・障害者雇用支援機構

    障害者の雇用にあたり円滑に職場に適応できるよう、どのような仕事が適しているかや、職場環境の改善・調整等、障害者と企業双方に助言をするなどの支援を行うのがジョブコーチ(職場適応援助者)。トライアル雇用の段階で利用することも可能。知的障害者、精神障害者の雇用にあたり利用されることが多いです。ジョブコーチは所属により3種類「配置型」「第1号ジョブコーチ」「第2号ジョブコーチ」に分けられ、そのうち、企業に所属して、自社雇用の障害者を支援するのが「第2号ジョブコーチ」。配置し支援を行った場合に、企業に対し助成金(第2号職場適応援助者助成金)が支給されます。

     

  • 障害者雇用納付金制度に基づく助成金 高齢・障害者雇用支援機構

    事業主が障害者雇用を進めるにあたって必要とする設備改善などの費用を援助する目的の助成金で、障害者雇用促進法に基づき、障害者雇用納付金を財源として、(独立行政法人)高齢・障害者雇用支援機構(実務は各地の雇用開発(促進)協会)が担当しています。助成金の種類は多岐にわたり、申請手続きや、対象となる障害内容・程度などの条件が異なるため、障害者雇用の計画段階から、地域を担当する雇用開発(促進)協会に計画の内容を細かく相談し、手続きを誤らないようにすることが大切です。

 

 

常用雇用

 

  • 特定求職者雇用開発助成金 詳細

    障害者(65歳未満)や高齢者等の就職が困難な者を、継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して、賃金の一部を助成する制度。

     

  • 障害者ファースト・ステップ奨励金 詳細

    障害者雇用の経験のない中小企業(障害者の雇用義務制度の対象となる56人~300人規模)が、初めて雇用する場合に奨励金を支給する制度。雇用した1人目の障害者(65歳未満)について100万円が支給される。

     

  • 発達障害者雇用開発助成金/難治性疾患患者雇用開発助成金 詳細

    障害者雇用促進法では雇用義務の対象とせず、実雇用率にも算入されない「発達障害者」「難治性疾患患者」を雇用した場合に支給される助成金として新設されました。

     

  • 特例子会社等設立促進助成金 詳細

    障害者を新たに雇用して、特例子会社や重度障害者多数雇用事業所を設立した企業に対し支給される助成金。比較的安定した障害者雇用が見込まれる特例子会社等の設立促進を目的とした、雇用状況が改善されるまでの時限措置。

     

【便利なサイト】

障がい者就業サポートガイド----障害を持つ当事者が企画・制作している障害者による障害者のためのサイト。全国の障害福祉サービス事業所(就労分野)を紹介しており、各地域の就労支援事業所(施設)検索が容易にできます。

 

高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)---高齢者の雇用の確保、障害者の職業的自立の推進、求職者その他労働者の職業能力の開発及び向上のために、高齢者、障害者、求職者、事業主等の方々に対して総合的な支援を行っているサイト。英語版「Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons with Disabilities and Job Seekers」もあります。

 

 


 

 

 

個人個人のニーズに合わせた支援内容を選べる制度

 

 

 

Opportunities Fund for Persons with Disabilities

     Government of Canada   BC Centre for Ability 

 

国や州、近隣地域の障害者の就職活動準備・仕事探し・自営業支援などの助成金制度。「通常雇用の妨げになる永続的な障害があること、今現在失業中または非正規雇用者であること、カナダで就労可能なビザを持っていること、現在から過去3年間で失業保険を貰っていないこと」などの一定条件をクリアした障害者を対象とした雇用サポート。具体的な助成内容は・・・

 

  • 授業料・教科書代---公立機関やPCTIAに認知されている私立機関が提供し、申請者の雇用につながる可能性があると判断された2年以内の授業料。フルタイム/パートタイムどちらでも。
  • 生活費・宿泊設備---雇用トレーニングを受けるのに必要となる費用
  • 障害閑連サポート---(車椅子など)アクセスをしやすくするための費用
  • 雇用者に対する賃金への補助金
  • 自営業者へのトレーニング
  • 家族の保育・介護サポート
  • 補装具・道具代---申請者の雇用に有益と認められれば、コンピューターなども助成金で購入可。

 

・・・という感じで、申請者本人にも、雇用先にも対応するようになっています。助成金の額・内容については、ケースマネージャーと相談の上、個々のニーズと、申請時の提供可能な助成金の総額と合わせて決定されます。

 

 

 

Canada Pension Plan Disability Vocational Rehabilitation Program 

   Service Canada  

 

「Canada Pension Plan (CPP) Disability Benefit(※)受給者で、やる気があり、介助があれば復職可能で、症状が安定している」障害者を対象にした雇用支援制度。下記のようなサービス内容で、サポートしてくれます。
       ※カナダでの就労者が半ば強制的に給与から差し引かれ、将来、

        リタイアした際の年金や、障害を負ったり死亡した際の福祉に充てられる給付金。

 

  • カウンセリング---「申請者のニーズ・教育レベルと現在の就労能力の診断・将来の目標」などを 担当のvocational rehabilitation specialist(社会復帰カウンセラー)と個別相談。雇用主はどのようなスキルを求めているのか、自営の機会もあるのか・・・を検討していきます。
  • 復職までの計画---担当のvocational rehabilitation specialistと医療関係者、Service Canadaと相談しながら、復職までの計画を立てます。
  • スキルの向上/再トレーニング---復職にあたって、再トレーニングや教育のアップグレードが必要な場合、CPPが費用をカバーしてくれる可能性もあります。
  • 就職活動スキルの開発---社会復帰関係のトレーニング終了後、担当のvocational rehabilitation specialistは、履歴書作りや面接練習など、一緒に仕事探しを手伝ってくれます。

 

 

Skills Link Program 

   Service Canada

 

Employment and Social Development Canada (ESDC) と Service Canada (SC) が提供。障害者に限らず、「ひとり親家庭・新移民・高校中退者・先住民・遠隔地居住者」など。。。雇用に際して困難さを抱えている若者(15~30歳)を支援する制度。「通常の環境と異なった就労が困難となる現状にあること、カナダで就労可能なビザを持っていること、失業保険を貰っていないこと」などの一定条件をクリアした若者を対象とした雇用サポートで、個人だけでなく、「雇用支援活動を実施している企業・非営利団体・公立健康福祉団体・教育機関・先住民団体・地方自治体」などに助成金が提供されています。
具体的な助成内容は・・・

 

  • Community-based Planning   
    問 題の本質と若者のニーズがきちんと定義されていないコミュニティーに対して、雇用問題を認別・提起し、協力的で地域密着型アプローチを促進。若者が労働市 場に参加できるように、支援ネットワークを紹介したり、成功に向けての戦略を練ったり、長期間に渡るサポートをします。最長30週間(3年強)で、最大$50,000の助成。
  •  
  • Pre-operational Assistance  
    コミュニティーにおいて、若者が直面しているさまざまな障害に対して行われているサービスの相違を認別するための助成。最長12週間で、最大$10,000の助成。
  •  
  • Employment Services for Youth
    Level One: Youth Outreach and Client Assessment Services」対象者個人と接見し、雇用適性能力の有無を調べるアセスメント支援。結果、Skills Link 制度の対象者ではないと判断された場合、代わりにこの支援を利用できる可能性がある。一個人につき毎年$400 の助成。

    Level Two: Case Management and Employment Sessions
    「ケースマネージメント」と「個人や団体での雇用集会」といったSkills Link 制度の対象者への雇用サービス。一個人につき毎年$700 の助成。
  •  
  • Employment Interventions for Youth
    雇用成立に至るまでの期間の収入を支援。内容はあくまでも個人によって異なりますが、「障害をもっている人」や「就職活動のために必要な保育費や交通費をねん出しなければいけない人」に追加で助成してくれる可能性もあります。 
 

 

 

Entrepreneurs with Disabilities Program 

   Western Economic Diversification Canada

 

カナダ西部に居住し、小中規模の会社の起業や拡大を計画している障害者に対しての支援。

 

 

 

Ability Edge 

   Career Edge Organization

 

国家規模の非営利団体「Career Edge Organization」が提供。「カナダで就労可能なビザを持ち、過去3年の間に大学や短大を卒業したのにもかかわらず、専門分野に関するキャリアがほとんどない」障害者を を対象とした雇用支援。対象者として認定されると、「信頼できる企業での4~12カ月に渡る有給インターンシップ・月額奨学金$2,200(特別税控除あり)」などのサポートを受けられます。実社会の職場で指導や教育を経験することによって、キャリアをスタートさせる自信を持つことができたり、専門家とのネットワークを築くこともでき、正式な雇用に結びつき易くなるチャンスも増えます。

 

 

 

WORKink  

   WORKink

 

「仕事を探している障害者」と「障害者を雇用したい企業」を結ぶ、カナダ最大規模の就職情報サイト。1986年のEmployment Equity Act(障害者雇用平準化法)の設立以来、州毎の就労者募集記事はもちろんのこと、関連イベントや役に立つ情報が満載です。